暖かな木漏れ日のなか、先頭の少女に青年が手を引かれる形で二人は駆けていく。
着いた先で、ここ数日の陽気に誘われるように咲き始めた花をひとつひとつ愛でていく少女を青年は眩しそうに眺めていた。

そのうちに日差しが心地よくなったのか、青年は側にあった木に寄りかかるように寝てしまった。

それに気づいた少女は珍しい、と思いながら彼へと近づいた。
彼が自分の元で働き始めてからそれなりに月日は過ぎたが、彼の寝顔を見るのは今日がはじめてだった。
起こさないように、そっと彼の髪に触れる。
微かに日の光に反射する鮮やかな紅に魅入られながら、指先から伝わるわずかに堅い感触に胸の奥から暖かなものが込み上げるような感じがした。

そうしている内に彼が僅かに動き、彼女はばっと手を離した。
見られたりしたら恥ずかしいと思ったが幸いにも彼は気づいていないようだった。
そろそろ帰って晩御飯にしよっか。
そう言って微笑んだ彼女の背後には斜陽が差し込んでいた。



ああ、と青年は少女の手を握り返した。




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初ギアフェ。
ほぼ即興で書いたのでなんかわけわからんことに。


09.3.20


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